NHKスペシャル「時間が止まった私 えん罪が奪った7352日」の感想
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[やってないのに自白する心理]
NHKスペシャルで無実の罪で20年間刑務所で過ごした女性の話を見ました。この女性は31才の時に刑務所に入り51才の時に無実を証明して出ることができました。
住んでいた家が火事で焼けて娘が死んだのです。内縁の夫と共謀して保険金目当てで娘を殺害した容疑で逮捕されました。物的証拠はなく自白を根拠に無期懲役となりました。
その後、この女性は獄中から無罪を訴え続けます。20年後ようやく無実が証明され自由の身となりました。様々なえん罪事件でも同様のことが起こっていますがなぜやってもいない犯罪を自白するのでしょうか。
警察の取り調べが極めて過酷であることがまず考えられます。海千山千の犯罪者をいつも相手にしているのでそうならざるを得ないとは思います。
しかし有罪となれば最悪死刑、無期懲役となるのにやってもいない犯罪をやりましたと言うだろうかと疑問に感じます。江戸時代のようにギザギザになった石の上に正座させられて膝の上にどんどん重い石を置かれたわけではないのに自白するのはなぜでしょうか。
過去のえん罪事件を見ると無実の罪で自白している人がいくらでもいるのでそういう心理になってしまうのが普通なのでしょう。推測するに睡眠も満足にとれず朝から晩まで責め続けられ、うつ病状態洗脳状態になってしまうと思われます。
この番組にでてくる女性は刑事から「お前は何てひどい母親なんだ!」「娘に悪いと思わないのか!」と責め続けられたそうです。
内縁の夫が娘に性的ないたずらをしていたという話しを警察から聞かされた時頭が真っ白になり警察の言うままに自白書を書いたとのことです。
精神的に疲れ果て考えることも嫌になりやけになっていたのでしょう。もし僕が警察の取り調べを受けたら何も悪いことをしていなくても自白してしまう可能性は高いのかもしれません。
もともと僕はうつ病の気がありメンタルも弱くやけになりがちだからです。えん罪で刑務所にいれられたことがないのは運が良かったと言えます。
[20年後の実験で無実が証明]
この事件で女性が無実を証明できたのは刑務所に入ってから20年たってから行われた実験のおかげです。実験によって自白通りに放火することが不可能だとわかったのです。それだけでなく自然発火の可能性もあったことがわかりました。
永遠に無実が証明できない可能性もあったので、それに比べれば運が良かったと言えます。それにしてもその実験をもっと早くすることはできなかったのだろうかと思ってしまいます。
亡くなった娘さんには学資保険しかかけられていなかったのに殺害を疑われたりどうもこの事件は腑に落ちないことが多いです。
この番組のテーマがえん罪で20年を失った女性の人生の再生だったのであえて事件の細かい部分には触れなかったのでしょう。ただ警察にこいつが犯人だと思われたらよほど確実な無罪の証拠がない限り犯人されてしまうリスクが高いということです。
[失われた時間は戻らない]
この女性も言っていたことですがお金をもらっても失った時間は取り戻せないです。9才の息子は29才の大人になり60代だった両親は80代になっていて介護が必要となっていました。
20年という時間は親や子供であっても赤の他人のようにしてしまいます。特に子供はどういう人間か全くわからないので、その女性はどうやって接していいかわからずにいました。
過ぎた時間は戻らないとかお金より時間が大事という言葉は至る所で聞きますがこの女性ほど切実にそれを感じている人はほかにいないでしょう。
[まとめ]
犯罪は悲劇的なことを引き起こしますがえん罪も本当に悲劇的です。えん罪を二度と起こさないようにすることはできないだろうかと思ってしまいます。
犯罪者と戦うためには警察や検察には圧倒的な権力が必要です。そして警察も検察も神ならぬ人間の集団なのでミスもするし暴走してしまうこともあるでしょう。それでえん罪が作られてしまうのですが警察や検察の力を維持したままえん罪を防ぐ制度やシステムをつくれないものでしょうか。取り調べはせめてすべて録画しておくなど色々対策はありそうです。
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